漱石の『夢十夜』
夢を題材とした小説や物語や童話はたくさんあります。
日本の近代文学という分野だけでも、柳田国男の『遠野物語』、内田百聞の『お爺さんの玩具』、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、小川未明の『野ばら』などがすぐに思い浮びます。
現代文学の範囲ですと、島尾敏雄の『夢の中の日常』や『夢日記』、吉行淳之介の『鞄の中身』、津島佑子の『大いなる夢よ、光りよ』といった作品が挙げられます。
また、外国文学に目を移すとホメロスの『オデッセイア』、呉承恩の『西遊記』、カフカの『夢』、C・L・ムーアの『真紅の夢』などがその代表作です。
・・・こうした夢を題材にした作品の中で、夢の話だけを10編まとめたのが夏目漱石の『夢十夜』です。
「こんな夢を見た」という書き出しで始まるこの短篇については、漱石研究家の荒正人さんが大脳生理学の松本淳治教授に、ここに出ている夢は実際の夢を題材にしたものかどうか、調べてほしいと頼んだことがあるそうです。
松本先生はこの頼みを受けて早速調べてみたところ、すべて想像によるものとは言いがたく、実際の夢を材料にしていないとは言えないという結論に達したということです。
わたしはこうした文学を布団 羽毛の中で眠る前に読むことが大好きです。